[映画] [映画レビュー]「江南1970」ユ・ハ監督が造る新しいイ・ミンホとキム・レウォン

2015/01/20 9:07:09

※テキストの中に映画のストーリー(ネタバレ)が含まれています

カメラが青い羅州(ナジュ)平野(地名。韓国・全羅南道44%に当たる平野)を横切るシーンから「江南1970」は幕を開ける。以降、街の物乞いに扮したイ・ミンホとキム・レウォンの顔がスクリーンをいっぱい埋め尽くす。平野と全く異なる灰色のボロ服をかけた二人の男は、たったの一食を解決するために街をうろうろし、生硬な感じがする。映画は、序盤に描写されあの2つのシーンで、強烈な色彩と二人の男の新しい変身が濃く染み出る。

「江南1970」(監督:ユ・ハ、制作:モベラ・ピクチャーズ、配給:SHOWBOX Mediaplex)は、ユ・ハ監督の10年にわたる「街をモチーフにした3部作」を締めくくる作品だ。「マルチュク青春通り」(04年)、「卑劣な街」(06年)を通じて、制度教育の暴力に蹂躙される青春。金が暴力によって消費される現実をスクリーンに収めた監督は、今回イ・ミンホとキム・レウォンという男たちを全面に出して、‘権力が暴力をどのように消費するか’を語ろうとする。


街3部作の完結を飾るこの映画は、エキスだけをぎゅうぎゅうと絞った感じだ。強くて重みのある“男の匂い”が充満しており、その分、残酷なアクションシーンは多少暴力的である。しかし映画は、刺激的なアクションシーンで物語を引っ張っていくのではなく、ばた屋に扮したイ・ミンホ、キム・レウォンの新しい変身に、ユ・ハ監督が持つ特有の繊細な演出で伝えたいメッセージをしっかりと中心に置いてある。

「江南1970」は、ユ監督が幼年時代の登校道によくみかけたばた屋(ごみ箱や道路上で紙くず・ぼろ・金物などの廃品を回収して生活する人)と、江南をめぐった都市開発計画を政治的秘話として紹介する本「ソウル都市計画物語」をもとに制作した。

主人公は、戸籍もまともにない孤児出身のジョンデ(イ・ミンホ)とヨンギ(キム・レウォン)。二人の男はばた屋の生活を続けながら実の兄弟のように互いを頼る。一食を心配しながら路上を徘徊するジョンデとヨンギの唯一の居場所は、無許可村の小さな小屋だ。


凍死しないよう小さな電球を胸に抱いて眠る二人の男には、夢を見る将来さえ贅沢に感じられる。しかし、その生活は間もなく終止符を打つ。再開発区域に指定された無許可の村は一瞬にして滅びることになり、居場所を失った二人はヤクザ出身のギルス(チョン・ジニョン)に救われる。その瞬間からジョンデとヨンギはばた屋生活を整理することになる。

以来、ギルスの勧めでチンピラたちが介入された全党大会の妨害作戦に絡んだジョンデとヨンギは離れ離れとなり、互いの生死も知らないまま各自の道を歩んでいく。ジョンデは、行き場を失くした自分を受け入れてくれたギルスの家で生活をはじめる。しかし、暴力団生活を清算して平凡に暮らすことを望むギルスの願いを拒んだジョンデは、自分の欲望のために情報と権力の首脳部にコネクションがあるミンマダム(キム・ジス)と組んで江南開発の利権争いに飛び込むことになる。一方でジョンデは、自分を家族として受け入れてくれたギルスと、彼の娘ソネ(ソルヒョン・AOA)を命よりも大切にする。


ヨンギは3年後、明洞派の中間ボスとしてジョンデと同じくヤクザ生活を続けている。用意周到な仕事振り、手に血を染めることを恐れない性格でナンバー2の座までに上がった彼は、止めずにそれ以上の野望を抱く。そして二人は運命的に再会する。兄弟は互いの欲望を追い続けるが、政界まで介入した陰謀と裏切りの戦場に身を任せ、命賭けの戦いを予告する。

映画は二人の男の欲望を通じて人間の貪欲を物語る。物乞いだったジョンデとヨンギが生きる1970年代は江南の復興を目指す時代で、ソウルを江南に移そうとする政府の緻密な計画の下で、現在の江南が建てられるまでの過程を力動的に描いた。映画の始まりに「すべての人物と事件はフィクションである」と明確にするが、富の象徴である江南開発史は、フィクションとするに遜色がない。


ユ監督はタフなアクションを通じて欲望と貪欲に向かって走る二人の男をスクリーンの真ん中に収めた。「江南1970」の中で最高のアクションシーンと取り上げられる泥場でのアクションは、撮影に一週間、動員人数150人、水800トンが投入され、大規模なスケールとともに鮮やかな色彩を誇る。もちろん全党大会でのアクションも、もう一つの見所となっている。

2本の前作に比べてより濃くなった場面と場面。ユ監督のアクションが好きな映画ファンに痛快な快感を与えるに十分だ。その反面、斧を武器にしたアクションシーンや相当な残酷さが見られるアクションなどは、慣れていない観客の目をぎゅっとつぶらせるはずだ。さらに濃い目の黄土色、赤、青などの原色に満ちた画面は、ヘウニ(1970~80年代に人気を博した女性歌手)の『第3漢江橋』、イ・チャンヒ(同年代の人気男性歌手)の『私は君にすべて捧げる』、フレディー・アギラの『ANAK(息子)』など、時代を象徴する音楽と調和して観客らに妙な気分と濃い残像を残す。


監督の演出力を裏付けるのは、俳優たちの演技力だった。‘イケメン’のイメージを脱いで1970年代を生きる青春、ジョンデに扮したイ・ミンホの変身は実に新鮮である。タフなアクションシーンから荒い口の聞き方、物乞いの姿まですべてを自然に消化し、片思いの人ソネには密かに思いを寄せながらも、節制されたまなざしで気持ちを伝える。このような変身は、彼が「江南1970」に出会い、悩んで努力した痕跡がスクリーンを通じてそのまま感じられる。

キム・レウォンはヨンギという人物を通じて水を得た魚のようにスクリーンの中で暴れる。映画のために15kgも減量してより敏捷になった彼は、卑劣で強い男だが、心の内には弱さを秘めた男として、特有のまなざしと深みのある演技を披露。自然とキャラクターに溶け込んでいた。特にキム・レウォンのまなざしは、台詞一言よりも多くのメッセージを伝えるものだった。

映画のつっぱりで隠れた宝石は、ギルスに扮したチョン・ジニョンである。頑固な男と父親の感じを同時に表現した彼は、信頼感を与える声と確かな演技力で、多少尖りがちな物語を安定させた。


「江南1970」は、もしかすると好き嫌いが強く分かれる作品かもしれない。既存のユ・ハ監督の街シリーズが好きだった観客なら、濃いアクションと男の匂いに満足するはずだが、そうでない場合は、多少過激なアクションと長いランニングタイムに目を閉じるかもしれない。しかし、‘男性の過酷な物語’という素材を越えて、権力のために暴力を消費する連中の利己的なストーリーに、キム・レウォンの深いまなざしとイ・ミンホの演技変身は、老若男女らに十分な見どころを提供するはずだ。映画は韓国で1月21日(水)に公開される。(上映時間135分・青少年観覧不可)

THE FACT|ソン・ジヨン記者

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