[映画] イ・ジョンジン『ピエタ』「この時代の映画人なら当然選択しなければ」

2012/09/24 17:58:21

「本当に気分がいいです。低予算映画なのに金獅子賞に興行成功まで夢みたいです」

俳優イ・ジョンジンの表情は明るかった。少し前に開かれた第69回ヴェネチア国際映画祭で自分が出演したキム・ギドク監督の映画『ピエタ(原題)』が、最高の栄誉である『金獅子賞』をもらったのだからこのような気持ちになるのも当然だ。『ピエタ』の金獅子賞授賞は、韓国映画が世界3大映画祭カンヌ、ベルリン、ヴェネチア映画祭で得た成績の中で一番の記録だ。これまでどんな映画もこの3大映画祭で最高の栄誉を抱くことはなかった。たった1億5,000万ウォンの低予算映画、それもひと月、12回の撮影回数で制作された問題作は、堂々とヴェネチア国際映画祭で金獅子賞受賞を掴んだ。この作品の中にはイ・ジョンジンがいた。

「今もぼうっとしている。最近は道を歩いていると本当におめでとうという声を聞く。特に「御苦労さま」という挨拶を聞く時、不思議な気分だ。国家代表に言う言葉みたいで。韓国の映画『ピエタ』でヴェネチア行ってきたことを皆さん認めて下さるようで幸せだ。錚々たるライバル作品があったが我々は優勝カップを手にした。本当に嬉しい」

イ・ジョンジンは2000年『サマービーチ~海辺へ行こう~ 』に出演し、本格的な俳優生活を始めた。10年を超える時間でずっと演技をしてきた分、いくつか賞をもらっただろうに意外にもイ・ジョンジンはこれまでたった1つの賞も貰っていなかった。それこそ『無冠の俳優』だ。そんな彼が初めて獲った賞が『金獅子賞』だ。一発当てたのだ。

「映画賞授賞式では候補としてノミネートもされなかった。だから余計夢のようだ。私にもこんな日が来るんだなぁと思った」

もともと賞に縁がないのか。彼はヴェネチアに行っても授賞は予想できなかった。もちろん心の中では賞をもらったらいいなと考えもしたが、壁があるヨーロッパ人たちがアジアの小さな映画に手を差し伸べてくれるだろうかという不信感もあった。しかもライバル作品の反応が元々良かった。公式上映日程が終わった後、ヴェネチアに留まらずパリへ行ったのも、世界映画祭の高い壁にひとり合点して怖くなったからだ。イ・ジョンジンはパリに滞在していたために栄誉の授賞式の現場に参加できなかった。

「受賞するというのは簡単な事ではない事だと分かっていたので、パリに行ったんだ。もらえるかもとは思ったが、果たして自分たちを選んでくれるかという質問に応えるのがしんどかった。しかもヴェネチアにもっと居たかったが現実的に不可能でもあった。公式上映日程が終わった後、映画祭側から提供されたホテルもチェックアウトしなければならず、他のホテルに移りたくても部屋が空いてなかった。どうせ飛行機のチケットがパリ経由だからとパリに行った。イタリアも初めて行った所でパリも初めてだったんだ。ところが授賞式当日の2時に授賞式に出席しろと連絡を受けた。飛行機も汽車もあらゆる方法でヴェネチアに戻る交通手段を探したが、方法がなかった。パリやヴェネチアに知り合いでもいれば、情報も得て、お願いもしてみただろうけど、知り合いすらいなかった」

授賞式の現場にも行けなかったが、他の有名俳優たちにも会えず更に残念さが募った。みんな自分たちの上映日程に合わせヴェネチアに来るために有名俳優1人にも会えなかった。

「釜山(プサン)国際映画祭に行けば俳優たちがいて、仲良く酒も飲み行ったり来たりしながら顔を会わせたり。そうじゃないですか。パーティーみたいな場所あると思ったのにそうじゃないんですよ。みんな来たらすぐ行ってしまい、1人も会えなかった。むしろ私にサインしてくれという方がいた。トレーニングウェア姿だったのに分かって下さったようです」

人生で初めて貰うことになった映画関連の賞。それも金獅子賞授賞式に参加しなかった残念さは言葉には表せない。特に彼は「キム・ギドク監督、チョ・ミンス先輩と一緒に大変な過程を経て映画を完成させたので更に残念だった」と話した。イ・ジョンジンとしてはキム・ギドク監督の作品に出演するということからして冒険だった。その冒険と挑戦が総決算を迎える瞬間を共に出来なかったのだ。

「俳優だからキム・ギドク監督の作品に出演したいという独り想いのような感情があった。しかし意外な状況でチャンスが来た。『ピエタ』を撮る前ロマンティックコメディ『ワンダフルラジオ』を撮った。それ以降それに似たスタイルのシナリオが沢山来た。ところが急にキム・ギドク監督の作品をするというので、みんななんでそうなんだと怪訝に思った。それも役柄が悪徳取り立て屋なんて。しかしチャンスを逃したくなかった。映画『取り戻せない(原題)』では私が児童性犯罪者で出演した。『取り戻せない』だろうと『ピエタ』であろうと我々映画界に必要な作品じゃないですか。この時代の映画人として選択しなければならなかった」

イ・ジョンジンはソウルの中産層の家庭に生まれ平凡な成長期を過ごした俳優だ。そんな彼が嵐のようなキム・ギドクの映画に出演した。しかも悪魔のような債権取り立て屋で。その状況が理解できただろうか。

「想像すらできない台詞が書いてあった。当然全部理解できないでしょう。撮影10日前に完成したシナリオをもらって、8日前に撮影準備を始めた。体重も落として。撮影前、監督には2度会った。撮影が始まるやいなやたった12回だけの撮影が終わり、1ヵ月だった。そんなでどうやって主人公カンドを100%理解できるっていうんですか」

稲妻で豆を焼いて食べるように進行された映画撮影。1億5,000万ウォンという超低予算。ランニングギャランティーだけが約束され出演料なしで撮影した俳優たち。この映画『ピエタ』が韓国映画史に道を残す作品になった。ヴェネチアに行く時までは大人しかった世論がヴェネチアに行った後沸きたった。メディアの関心も集中した。キム・ギドク監督は映画祭から帰って来た後記者懇談会を通じて独占市場に、メディアの関心さえ彼ら独占事業者に偏る韓国映画界に対する不満を吐露した。

これからの計画を聞くとイ・ジョンシンは「いい作品の中でファンの皆さんにご挨拶します」「来年に撮影する作品がある」と少し言葉を濁した。

ヴェネチア国際映画祭に行って来た後、海外進出のオファーがなかったのかの質問には「やりたいと言ったからって出来るものじゃないじゃないですか」と笑った。

「チャンスがあればやるでしょう。海外からいいシナリオが入ってきたら出演したい。だけど言葉が問題でしょう。英語はちょっとだからどうなるか分からないな」

俳優生活12年ぶりに金獅子賞を受賞し、戻って来た俳優イ・ジョンジン。彼が出演したドラマ『9回裏2アウト』のように、人生は長い目で見なければならない。無冠の俳優がこうやって韓国映画歴史に足跡を残す作品に出演するなんて誰が分かっていただろうか。

写真=ホ・ジョンミン記者


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