[ドラマ] 韓国ドラマの難治病、「トンデモ設定」はなぜ人気なのか(2)

典型的な問題解決方法は「盗み聞き」だ。『百年の遺産』はすべてのあらすじが盗み聞きで進められる。だれもがジェミー・ソマーズ級の耳を誇り、悪行も善行も盗み聞きする。『愛したみたい』は「報告」だ。チェ・ソンジョンは主演・助演の報告を受けて危機を免れ「チェ姉さん」とも呼ばれる。無茶苦茶な悪行に全知全能な危機脱出能力は『野王』のスエも同じだ。視聴者も彼らが1日も早く断罪されることを待つより、むしろ悪行を楽しむ側だ。

悪役は主に女性だ。女性たちがいわゆる馬鹿騒ぎをやらかすほどトンデモ設定の級数が上がる。「蓋然性不足、反倫理的内容はトンデモ設定ドラマ以前にもあった。問題は“過度さ”だ。トンデモ設定ドラマは韓国的ドラマ(制作・消費)環境を凝縮して見せてくれる、韓国産B級家族メロドラマだ」(ソウル大学ホン・ソクキョン教授)。

◆弱者に対する感情移入=トンデモ設定ドラマは「咀嚼しながら見る面白さ」が大きい。伝統的な視聴者層である壮年・老年女性たちはドラマの中の弱者(嫁)に移入して彼らが悪役・強者(姑・内縁の女)に復讐するところに代理満足を感じる。

最近では若い男性視聴者の増加が目につく。インターネットの有名野球コミュニティにはトンデモ設定を話題とした掲示物がリアルタイムに上がってくる。『百年の遺産』は「名品トンデモ設定」と呼ばれ、「ギャグコンサート」より人気だ。「偶然オブ・ザ・ウィーク」「盗み聞きオブ・ザ・ウィーク」「おまぬけオブ・ザ・ウィーク」などを選んだりもする。 「一緒に視聴しながら一緒に糾弾すること」がテレビを見ることの新たな楽しみになり、トンデモ設定ドラマが良い“餌食”になっているのだ。話にならないほど、粗末なほど、ののしりながら見る楽しみはより大きくなる。

強い刺激にもたれかさついた現実を忘れたい逃避心理もトンデモ設定が盛んに行われる背景だ。現実(蓋然性)を本当につまらないことで描き出し現実の重圧感を忘れさせる「現実無化」心理も作用する。「重要なのは現実自体の“トンデモ化”だ。視聴者が経験する現実自体がすでにドラマに劣らずよじれているのだ。また、伝統的な善悪概念が揺らぎながら善人より悪人をもっと現実感のある人物として受け入れることになり、悪行も大きな道徳的拒否感なしで見ることになった」(イム・ヨンホ釜山大学教授)。

トンデモ設定という用語は『妻の誘惑』(2008)の時に本格化した。その淵源は『人魚姫』(2002年、MBC)、『花の仙女様』(2004年、MBC)、『神様、お願い』(2005年、SBS)、『新妓生伝』(2011年、SBS)に続くイム・ソンハンのドラマから見つけることができる。一時はトンデモ設定を否定的に使うなという抗議もあったが、最近は韓国ドラマのある傾向を意味する言葉として定着した。リアリティをこれ以上求めない視聴者、面白さと視聴率のためならば何でもするという制作スタッフ、日増しにさびしくなる社会現実がかみ合わさった結果だ。

折しもMBCは来月20日からイム・ソンハンの新しいドラマ『オーロラ姫』を放映する。ある関係者は、「どれほどストーリーが強いのか、台本を読むだけで疲れた」と話す。





Copyright 中央日報 /中央日報日本語版 2013年 04月 29日 13:36